大会プログラム

*各年度の最上段部分をクリックすると詳細がご覧いただけます。

  • 日時: 2018年7月7日(土曜)10:00~18:00
  • 会場: ウイングス京都  地下鉄「烏丸御池」駅・「四条」駅、阪急「烏丸」駅、各下車徒歩5分)
  • 参加費:会員(一般1,000円、学生・非正規等 700円)、非会員(一般1,500円、学生・非正規等1,000円)
  • 参加申し込みフォーム

大会の開催について

・本日の大会は予定通り、開催いたします。
雨模様で交通機関の運行も乱れる中ですが、どうぞお気をつけてお越しください。

共通論題テーマ「働き方改革とジェンダーインパクト」
趣旨説明: 共通論題座長 三山雅子(同志社大学)

 日本フェミニスト経済学会2017年度大会はアベノミクスに対する総合的な分析を行い、盛況のうちに終了した。2018年度大会では、2017年度大会の共通論題シンポ当日にフロアから多くの質問が寄せられた働き方改革に焦点を当て、共通論題シンポジウムを開催する。
 働き方改革実行計画は、「日本経済の再生を実現するためには、~~付加価値生産性の向上と、労働参加率の向上を図る必要がある。そのためには、誰もが~~その能力を最大限発揮できる社会を創ることが必要である」と述べる。本年度の共通論題シンポでは、この点を中心的に取り上げたい。
 つまり同実行計画が目指す働き方によって、誰もがその能力を最大限発揮できる社会が実現するのか、同実行計画が非正社員・正社員の男女労働者にどのようなインパクトを与えるのかを探る。さらに、働き方改革により労働時間規制のあり方や賃金と労働時間の関係が大きく変わると考えられる。したがって法的観点から見た時に働き方改革の特質がいかなるものなのか、法的側面からの働き方改革分析も行う。

大会スケジュール
10:00~10:45 自由論題 第1報告

A会場:2階会議室1
報告者:ガルサンジグメド・エンフゾル(大阪府立大学人間社会システム科学研究科博士後期課程)
「モンゴル国における日本投資企業で働く女性の意識に関する事例研究」
コメンテーター:足立眞理子(お茶の水女子大学)

10:50〜11:35  自由論題 第2報告

A会場:2階 会議室1
報告者:平野恵子(お茶の水女子大学ジェンダー研究所/北海道教育大学
「インドネシア首都圏におけるギグ・エコノミーと家事労働者」
コメンテーター:定松文(恵泉女学園大学)

B会場:2階 会議室2
報告者:鬼頭孝佳(名古屋大学文学研究科博士後期課程) 
「一億総活躍社会で見失われるもの」
コメンテーター:伊田久美子(大阪府立大学)

【共通論題】 13:00~16:55 2階セミナー室A/B

テーマ「働き方改革とジェンダーインパクト」

13:00〜13:05  趣旨説明 座長:三山雅子(同志社大学) 

13:05〜13:35 【報告1】
金井 郁(埼玉大学)「チェーンストアにおける働き方改革の展開‐非正社員とジェンダーへのインパクトに着目して」

13:35〜14:05【報告2】
駒川智子(北海道大学)「金融機関にみる働き方改革の展開‐正社員におけるジェンダーインパクト」

14:05〜14:35 【報告3】
中野麻美(弁護士)「法からみた働き方改革」

14:35〜14:50  休憩、質問紙回収

14:50〜15:35  討論者コメント
渡辺照子(アジア女性資料センター・女性労働問題研究会)
川口 章(同志社大学)
岡野八代(同志社大学)

15:35〜15:50  報告者からのリプライ
15:50〜16:50  フリー・ディスカッション
16:50〜16:55 まとめ 座長:三山雅子

17:00〜17:45 総会(2階セミナー室A) 
18:00~ 懇親会
(コープイン京都 1Fレストラン・パティオ:大会会場より徒歩約5分)
 参加費(飲み物代別)一般2,500円/学生・非正規等1,500円
(飲み物代込み)一般3,000円/学生・非正規等2,000円

共催:京都市男女共同参画推進財団
協賛:大阪府立大学女性学研究センター、お茶の水女子大学ジェンダー研究所(IGS)

日時: 2017年7月8日(土曜)10:00~18:15
会場: お茶の水女子大学共通講義棟2号館
参加費:会員(一般1,000円、学生・非正規等 700円)、非会員(一般1,500円、学生・非正規等1,000円)

共通論題テーマ「アベノミクスのジェンダー分析:税財政・金融緩和・雇用・「「外国人」人材」からみる」

趣旨説明: 共通論題座長 足立眞理子(お茶の水女子大学)
グローバル金融危機以降の2012年末に成立した安倍政権による経済政策、アベノミクスの経済政策の目標は、ほぼ20年間にわたる日本の経済的停滞を解決するための根本的解決策として、デフレからの解消と緩やかなインフレ経済への転換と好循環を構築することだとされている。
その政策は、第1に金融緩和、第2に機動的財政出動、第3に成長戦略であり、成長戦略の柱として「女性活用」と「地域再生」があげられている。したがって、通常、ジェンダー分析としては成長戦略への女性の動員に関する分析が中心となる。
しかし、本年の共通論題シンポジウムでは、税・財政、金融緩和・金融化、雇用・働き方改革、そして、同時に提出された国家戦略特区における「外国人家事支援人材」という観点を多面的に取り上げることにより、アベノミクスに対する総合的なジェンダー分析をおこなうものとする。

大会スケジュール

10:00~10:35 自由論題 第1報告

報告者:高橋加織(お茶の水女子大学大学院)
「マレーシア観光業に従事する現地採用日本人女性の労働と生活」
討論者:古沢 希代子(東京女子大学)

10:35~11:10 自由論題 第2報告

報告者:織田暁子(仁愛大学)
「専攻と職歴による賃金格差の研究 ―2015年SSM調査データの分析から」
討論者:石塚浩美(自由が丘産能短期大学)

報告者:GalsanJigmed Enkhzul(大阪府立大学大学院)
「モンゴル国における日系企業の人事制度に関する事例研究~女性の働き方を中心に」
討論者:長田華子(茨城大学)

11:10~11:45 自由論題 第3報告

報告者:北 明美(福井県立大学)
「児童扶養手当と障害基礎年金の子加算の調整にみるジェンダーバイアス」
討論者:藤原千沙(法政大学)

報告者:落合絵美(お茶の水女子大学院単位修得退学)
「シンガポールにおける高齢者福祉と女性の排除」
討論者:掘芳枝(獨協大学)

【共通論題】 12:50~17:15

テーマ「アベノミクスのジェンダー分析:税財政・金融緩和・雇用・「「外国人」人材」からみる」

総合司会:斎藤悦子(お茶の水女子大学)・藤原千沙(法政大学)

12:50~13:00 趣旨説明
共通論題座長:足立眞理子(お茶の水女子大学)

13:00~14:20 報告1
・税・財政  大沢真理(東京大学)
・働き方改革  三山雅子(同志社大学)

14:20~14:30 休憩

14:30~15:50 報告2
・金融緩和  足立眞理子(お茶の水女子大学)
・国家戦略特区と「「外国人」支援人材」 定松文(恵泉女学園大学)

15:50~16:00 休憩

16:00~16:30 コメント
コメンテーター:伊田久美子(大阪府立大学)、金井郁(埼玉大学)

16:30~17:10 質疑応答

17:15~18:15 総会
18:30~ 懇親会(共通講義棟1号館101)
(懇親会会費:常勤職2,000円、院生など1,000円)

共催:お茶の水女子大学ジェンダー研究所(IGS)
後援:大阪府立大学女性学研究センター

日 時: 2016年7月10日(日曜)10:00~17:30
会 場: 龍谷大学(深草キャンパス 和顔館)
参加費:会員 2000円, 非会員 3000円(学生は2000円)

共通論題テーマ「新自由主義とNPO」

趣旨説明: 共通論題座長 松川誠一(東京学芸大学)

新自由主義と呼ばれる社会・経済政策の流れは、1980年代以降、先進諸国の社会生活に多大な影響を与えてきた。それは、実際のところ、デヴィッド・ハーヴェイが言うようにシステマティックで統一性のある理論に基づいたものではなく資本の権力(再)奪取に向けた雑多な政治的プロジェクトの総称にすぎないとしても、戦後のケインズ主義的福祉国家体制を相当程度掘り崩すことに成功してきた。新自由主義的な政権が好んで用いる手法は、公的規制の緩和・撤廃や公共事業体の民営化といった「市場原理の導入」である。人びとは私的/個的な意思決定主体として「選択の自由」を強調され、その結果としての「自己責任」を課されるようになる。

新自由主義は福祉国家が担ってきた社会的サービスの供給を単に商品化/市場化しようとしただけではない。市場化が困難である(すなわち、営利団体が利潤を生み出すことが難しい)領域とみるや、そこでは民営化による政府からの選択的で恣意的な切り離しと受け皿としての非営利団体(NPO)の導入という政策手法に訴えた点にも注目しなければならない。そこでは、サービスの最終受益者と提供者の間には貨幣的関係はないものの、委託する地方自治体と受託組織との間には疑似雇用的な関係が発生している。
日本では、2000年に開始された公的介護保険制度や2003年に導入された指定管理者制度のもとで地方自治体が担ってきた様々な社会サービスの供給事業が民間委託されるようになった。こうした制度のなかで活動しているNPOは多い。また、サービス生産を行うタイプのNPOは、その働き方の特徴から女性が社会参画し活動する場としても位置づけられてきた。戦後近代家族が生み出した「名前のない問題」(フリーダン)に対する回答の1つが、NPOであったとさえ言えよう。しかし、新自由主義はそうした環境を準備し女性の「主体化」を促進する一方で、主体化された女性の労働力を民営化された社会サービス生産のために回収・再動員したと言うことはできないだろうか。

戦後日本社会で確立された生産労働と再生産労働をめぐるジェンダー分業が、新自由主義的政策によってその境界線を引き直されるとき、フェミニズムからのその評価はアンビヴァレントなものになろう。第2波フェミニズムを生み出したのは、ケインズ主義的福祉国家体制とそれが育み、かつ、それに依拠した戦後近代家族であった。新自由主義には、戦後ジェンダー秩序を揺さぶりジェンダー平等に向かう(ように見える)動きという側面がある。

2016年度大会の共通論題では、特にNPOという組織・運動体が新自由主義的な政策とどのように向き合ってきているのかという点に注目し、両者が織りなしてきた諸関係を今一度、フェミニスト視角から吟味する機会を提供したいと考える。

【第1報告】 「女性とNPO活動――新自由主義における「両義性」を超えて」
渋谷 典子(特定非営利法人参画プラネット)
NPOと自治体との「協働」のもと、指定管理者事業や委託事業といった枠組みで「公共サービス提供者」として公務を担うNPO活動者が増加しつつある。一方、「協働」という美名のもと、行政からNPOへの安価な下請け化の問題が浮き彫りになっている。本報告では、「市民参加の論理」と「行財政改革の論理」の渦中でNPO法人参画プラネットが取り組んだ名古屋市男女平等参画推進センター「つながれっとNAGOYA」指定管理者事業の実践をふまえ、女性たちが向き合った新自由主義における「両義性」を明らかにする。そのうえで、フェミニズムの視点から今後のNPO活動のあり方について提案を試みたい。

【第2報告】 「対貧困政策の新自由主義的再編とNPO――再生産領域における「自立支援」の諸相」
堅田 香緒里(法政大学)
1980年代以降、現代福祉国家の新自由主義的再編が進められてきた。本報告では、対貧困政策における新自由主義的再編が「自立支援」をキーワードに進行していることと、そうした支援の担い手としてNPOへの期待が高まっていることの含意に光を当てる。そこでは、貧者への「再分配」(経済給付)が切り縮められる一方で、経済給付を伴わない生全般・再生産領域における「承認」の擬制装置(自立支援)の氾濫が起きていることを指摘したい。そのうえで、今日のネオリベラルな貧者の統治様式に対抗しうる「再分配」と「承認」の在り様についても模索したい。

【第3報告】「アントレプレナー化する女性とNPO――承認の政治をめぐるせめぎあい」
渋谷 望(日本女子大学)
近年のネオリベラリズム統治の特徴は、当事者の承認欲求を媒介に、主体を「アントレプレナー」化し、「社会参加」を調達しようとすることにあるのではないだろうか。その直接的なターゲットは、貧困層、若者、女性である。本報告は、この統治様式とNPOの親和性を、そしてそれが社会運動、とりわけフェミニズムにたいしてもつバックラッシュ的性格を指摘したい。また同時にオルタナティブな承認の政治の可能性について検討したい。

【討論者】 藤原千沙(法政大学)

大会スケジュール

自由論題 第1会場(会場:和顔館201教室)

10:00~11:00 第1報告
林亜美(お茶の水女子大学)
「女性への職業訓練に関する一考察――求職者支援訓練の女性受講者に着目して」

11:00~12:00 第2報告
織田暁子(仁愛大学)「産業における女性就業者の割合と賃金」 

自由論題 第2会場(会場:和顔館202教室)

A会場10:00~11:00 第3報告
古沢希代子(東京女子大学)
「東ティモールの水利システム改革とジェンダー~インフラ事業の民主化を目指して~」

【共通論題 会場:和顔館2階202教室】 13:00~16:45

テーマ「新自由主義とNPO」

13:00~13:10 趣旨説明 座長・司会 松川誠一(東京学芸大学)
13:10~14:55 報告

  •  渋谷典子(NPO法人 参画プラネット)
    「女性とNPO活動――新自由主義における「両義性」を超えて」    
  • 堅田香緒里(法政大学)
    「対貧困政策の新自由主義的再編とNPO――再生産領域における「自立支援」の諸相」
  • 渋谷望(日本女子大学)
    「アントレプレナー化する女性とNPO――承認の政治をめぐるせめぎあい」

14:55~15:10 休憩 質問紙回収
15:10~15:30 討論者コメント:藤原千沙(法政大学)
15:30~16:30 質問への応答とフリー・ディスカッション
16:30~16:40 まとめ:座長 松川誠一(東京学芸大学)
16:40~16:45 閉会の挨拶:代表幹事 川口章(同志社大学)

16:45~17:30 総会(会場:和顔館2階 202教室)
18:00~ 懇親会(22号館地下食堂 ホール3)

協賛:お茶の水女子大学ジェンダー研究所(IGS)

日 時: 2015年7月4日(土曜)9:30-
会 場: 東京女子大学
参加費:会員 2000円, 非会員 3000円(学生は2000円)

共通論題テーマ「家事労働を問い直す――新自由主義と「女性活躍」の中で」

趣旨説明: 共通論題座長 竹信三恵子( 和光大学)

アベノミクスで「女性が輝く」政策がクローズアップされ、少子化による労働力不足とその進展をくい止めるため子育て支援も注目されている。一方で、介護報酬が減額されるなど、ケア労働政策は明暗を分けているように見える。だが、いずれの労働も、「活躍」の裏側に控えている家庭内の無償の家事の担い手を素通りしている。子育ても介護も無償の家事の連鎖であり、その担い手とされている女性のトータルな負担問題として考えられなければ、「女性活躍」さえも機能しない。たとえば残業代ゼロ制度とも呼ばれる「高度プロフェッショナル制度」は、1日8時間労働規制からの適用除外に道を開くという意味で、こうした家事労働を担える労働時間の解体への一歩となる可能性をはらんでいる。そのような労働時間制度の改変が「女性活躍」と同時に登場する事態は、「家事の担い手を素通りした女性活躍政策」そのものといえるだろう。
家事労働問題は、高度経済成長期、電化製品の普及で自然に軽減されるとされて政策的課題から遠ざけられ、さらに、育児・介護が「ケア労働」として家事労働から分離させられていく過程で、さらに周辺化されていった。だが、育児・介護が社会化されたとしてもなお、食べさせる、衣服を洗う、といった家庭内の家事労働は残り続ける。社会化されたとされる育児や介護サービスをコーディネートし、その不足を埋め、電化されたといわれる家電製品を操作する労働はなお、家庭内の無償労働者の大きな課題でありつづけるからである。
少子化を背景にした労働力不足の中での「女性活躍」と、「公貧社会」とも呼ばれる新自由主義下での財政逼迫のはざまで、家事労働はいま、だれが、どのように担うのか。外国人家事支援人材の導入は、事態を解決するのか。アベノミクス的な女性活用政策の是非を検証するためにも、家事労働を問い直す作業はいま、喫緊の課題ではないだろうか。そのような問題意識から今回の共通論題を設定する。

大会スケジュール

9:30~ 自由論題 

 

【共通論題 会場:C会場】 11:00~16:20

テーマ「家事労働を問い直す――新自由主義と「女性活躍」の中で」

  • 中谷文美(岡山大学):「価値ある仕事」としての家事――オランダ社会における専業主婦の主流化と周縁化をめぐって
  • 海妻径子(岩手大学):女性の有償労働者化と男性の育児参加――新自由主義経済下でのリスクマネジメントとして
  • 木本喜美子(一橋大学):戦後日本における家事労働の位置を探る――企業社会・雇用 労働とのはざまで

討論者:川口 章( 同志社大学)

協賛:お茶の水女子大学ジェンダー研究センター(IGS)

日 時: 2014年7月26日(土曜)10:00-
会 場: 名古屋大学 野依記念学術交流館
参加費:会員 2000円, 非会員 3000円(学生・非正規等は2000円)

共通論題テーマ「フェミニズム運動と反貧困運動」

趣旨説明: 共通論題座長 藤原 千沙(法政大学)

ウーマンリブやフェミニズムをはじめとして、これまで女性たちが中心となって切り開いてきた社会運動は、女たちの暮らしの現実を出発点として、その理不尽さや怒りに声をあげることからはじまった。社会変革を求める運動は、実態や構造を明らかにする研究を生み出し、変革のために必要な政策を求めて政治へとつながった。ただ、さまざまな利害関係者の調整の集積である政治過程では、社会運動の要求がそのまま実現することは難しく、具体化した政策の是非や賛否をめぐり、運動の分裂や対立を引き起こすことがある。「男女雇用機会均等法」「男女共同参画基本法」などジェンダー平等を推進するとみられる法律も、現実の運用や政治的背景を含めて、その評価は女性たちの間でも異なっている。

2000年代半ばから広がった反貧困運動も、経済格差や貧困の実態を明らかにする研究と、その変革を求める当事者や支援者の運動が結びつき、必要な政策を求める政治へつながった社会運動である。「パーソナル・サポート」「よりそいホットライン」「生活困窮者自立支援法」「子どもの貧困対策推進法」など、具体的な制度・政策・法律に結びついたが、その評価はこれからであり、社会運動と政治参加をめぐってもさまざまな意見がある。

日本フェミニスト経済学会2014年度大会では「フェミニズム運動と反貧困運動」を共通論題に設定した。議論したい論点は、第一に、≪運動≫≪研究≫≪政治≫をどのようにつなげるか、その限界や実践における課題である。第二に、フェミニズム運動と反貧困運動はどのような関係にあるか、連携や共闘のあり方についてである。第三に、社会運動の経験を次世代にどのように伝えるか、世代間継承の問題である。

フェミニスト経済学は、既存の学問におけるジェンダーバイアスを問うことから発展した学問であり、既存の社会構造を問い直す社会運動と切り離して考えることはできない。社会変革を求める社会運動をより広げるために必要な反省や課題を率直に議論しながら、当学会の役割や課題を考えたい。

大会スケジュール

自由論題 A(1階 会議室)

10:00~10:45 第1報告
ゴ・キュン・アン(ハノイ国民経済大学)、山田和代(滋賀大学)、ゴク・マイ・ラン(ハノイ国民経済大学)
「ベトナム経済発展にともなう労働の現状とジェンダー課題」

10:50~11:35 第2報告
林貞和(イムジョンファ)(大阪府立大学大学院生)
「韓国における性労働者運動に関する研究―性労働者運動の当事者女性のインタビューを事例に―」

自由論題 B(2階 カンファレンスホール)

10:00~10:45 第3報告
小野ルチヤ(同志社大学大学院生)
「大学全入時代の教育投資―子どもの性別と出生順に着目して―」

10:50〜11:35 第4報告
中原朝子(神戸大学)、伊田久美子(大阪府立大学)、熊安貴美江(大阪府立大学)、 山田和代(滋賀大学)
「若年女性の隠れた貧困―最終学歴が高卒以下の男女の調査から―」

【共通論題】 

テーマ「フェミニズム運動と反貧困運動」

座長・司会 藤原 千沙(法政大学)

1.湯浅 誠(社会活動家・法政大学)「運動と政治の間」
2.湯澤 直美(立教大学)「“子どもの貧困”とフェミニズム」
3.伊田 久美子(大阪府立大学)「女性学・女性運動における貧困・階層問題」

討論者:申 琪榮お茶の水女子大学)、 大森 順子(子ども情報研究センター)

共催:名古屋大学国際言語文化研究科 
後援:公益財団法人 東海ジェンダー研究所
協賛:お茶の水女子大学ジェンダー研究センター(IGS)

日 時: 2013年7月6日(土曜)9:30-
会 場: 和光大学E棟101教室
参加費:会員 2000円, 非会員 3000円(学生等は2000円)

共通論題テーマ「不況はジェンダー格差をどう変容させたか」

趣旨説明: 共通論題座長 北明美(福井県立大学)・川口章(同志社大学)

長引く不況は多様なジェンダー格差にどのような影響を与えてきたのか。また現在も与え続けているのだろうか?

最新の「賃金構造基本統計調査」によれば、「正社員」の所定内給与月額は女性が男性の73.4%であり、今までで最も男女格差が小さいという結果となった。だが、その平均金額をみれば、それはリーマン・ショック以前の水準を下回ったままであり、しかも今や女性の半分以上は「非正規」雇用で働いている。また、2012年の「世界経済フォーラム」による「世界男女格差報告」においては、「経済活動への参加と機会」における男女格差の大きさで日本は調査対象135カ国中102位であった。

結局のところ、今私たちの眼前で進んでいるのはジェンダー格差の下方への平準化なのか、それとも新たな格差拡大と格差の多様化なのか。

本大会では不況とジェンダーの関係を男女賃金格差、正規・非正規格差、家族類型間格差、性的マイノリティ・マジョリティ格差といった多様な観点から検討する。

第1報告者の永瀬伸子氏は日本の男女賃金格差の問題を量的調査を中心に論じる。

第2報告者の金井郁氏は職場レベルの調査をもとに、労使の取組みの中から企業内で非正規化が大きく進んだ実態を描き出しつつ、そのジェンダー的な含意を明らかにする。

第3報告者の居神浩氏は、「月収20万円前後の職を持つ夫婦共稼ぎ家庭」で、かつ子育てをする「第2標準」(中西新太郎)家庭に焦点をあて、こうした世帯がそれなりに安定的かつ発展的な人生経路に結びつくためにキャリア教育の視点も踏まえて必要な諸条件を検討する。

第4報告者の杉浦郁子氏は、不況や非正規化の進行が性的マイノリティ・マジョリティ格差にどのようなインパクトを及ぼしうるのかについて、インタビューおよび電話相談事例などから検討する。

大会スケジュール

自由論題 9:30〜
共通論題  13:00~

テーマ「不況はジェンダー格差をどう変容させたか」

第1報告予定者:永瀬伸子(お茶の水女子大学)
第2報告予定者:金井郁(埼玉大学)
第3報告予定者:居神浩(神戸国際大学)
第4報告予定者:杉浦郁子(和光大学)
コメンテーター:竹信三恵子(和光大学)

協賛:和光大学ジェンダーフォーラム、お茶の水女子大学ジェンダー研究センター(IGS)

日 時: 2012年4月21日(土曜)10:00-
会 場: 同志社大学今出川キャンパス
参加費:会員 2000円, 非会員 3000円(学生等は2000円)

共通論題テーマ「ワーク・ライフ・コンフリクトの現在」

趣旨説明: 足立 眞理子(お茶の水女子大学)

日本は、職場における処遇のジェンダー格差が非常に大きい。女性の時間あたり賃金は男性の60%にすぎず、管理職(係長相当職以上)に占める女性の割合は8%にすぎない。このように大きなジェンダー格差が発生する背景には、仕事と家庭の両立が困難なことがある。特に、仕事と育児の両立は難しいために、多くの女性が妊娠や出産を契機に退職し、子どもが大きくなってもフルタイムにはならず、パートタイムとして復帰する。

その一方で、近年、ワーク・ライフ・コンフリクト(仕事と生活の対立)やワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)に対する関心が高まりつつある。2007年には、ワーク・ライフ・バランス憲章が政労使の合意の上で策定された。なかでも、育児・介護と仕事の両立支援策については、真剣に取り組む自治体、企業、労働組合が増えつつある。
しかし、ワーク・ライフ・バランス施策をジェンダー平等という観点からみた場合、成果は上がっているのだろうか。男女の固定的役割分担意識は解消しつつあるだろうか 、男性の家事・育児への参加は増加しているだろうか、妊娠や出産で退職する女性は減っているだろうか、女性の職域は拡大しているだろうか、不安定雇用(非正規雇用)の女性への著しい偏りは改善しているだろうか、男性の長時間労働は改善しているだろうか…。どれをとっても、はっきり肯定できるものはない。

日本フェミニスト経済学会2012年度大会は、「ワーク・ライフ・コンフリクトの現在」を共通論題として、ワーク・ライフ・バランス研究の専門家3人に報告していただく 。藤本哲史氏(同志社大学)は、社会心理学を専攻しており、これまでワーク・ライフ・コンフリクトに起因するストレスに関する研究を数多く手掛けてきた。日本のワーク・ライフ・コンフリクトの現状について、ジェンダーの視点を交えて報告していただく。斎藤悦子氏(お茶の水女子大学)は、生活時間研究の専門家である。生活時間配分に関する詳細なデータを利用し、仕事、家事、社会活動などにおける男女の役割分担や労働時間の二極化の実態などについて報告していただく。脇坂明氏(学習院大学)は、女性のキャリア形成や企業における女性活用施策に関する研究の第一人者である。企業におけるワーク・ライフ・バランス施策の実態や、その施策が企業における女性の活躍にもたらす効果および問題点などについて報告していただく。

大会スケジュール

自由論題
共通論題

テーマ「ワーク・ライフ・コンフリクトの現在」

川口 章(コーディネーター、同志社大学)

 報告者1:藤本 哲史(同志社大学) 
 報告者2:斎藤 悦子(お茶の水女子大学)
 報告者3:脇坂 明(学習院大学)
 討論者:伊田 久美子(大阪府立大学)

協賛:お茶の水女子大学ジェンダー研究センター(IGS)

日 時: 2011年4月16日(土) 10:00-17:30
会 場: お茶の水女子大学 共通講義棟1号館
参加費:会員 2000円, 非会員 3000円(学生は2000円)

この度発生した東北地方太平洋沖地震および東京電力福島第一原子力発電所の事故により、多くの方々が命をおとされ、またさらに多くの方々が過酷な避難生活を余儀なくされており、被災地では、ジェンダーに敏感な、物的・人的支援をはじめとするあらゆる支援が必要となっています。

2011年度日本フェミニスト経済学会は、このような時期に、このような時期であるからこそ、今大会の共通論題となる、日本における財政と社会保障に対するジェンダー予算分析というテーマが、震災の収束が見えない只中にあって、またこの後の社会再構築において、最大の政治的経済的課題の一つであると考えています。今後の政策・制度設計において浮上するであろう安易な「復興」言説に抗する、様々な運動の声を具体的に反映していくための重要な礎となるものと認識し、今大会を行うことを決定いたしました。

以下に、大会共通論題報告を担当いただく、神野直彦さん(東京大学名誉教授)による共通論題報告要旨「日本の財政と社会保障とジェンダー」を掲載いたします。

どうぞ、学会員・非会員にとらわれず、自由にご参集ください。

(足立眞理子)


共通論題報告要旨:日本の財政・社会保障とジェンダー
(東京大学名誉教授 神野直彦)

現在は「歴史の岐路」である。結論は二つしかない。破局か肯定的解決である。破局へと舵を切らないためには、財政と社会保障をジェンダーという視点から見直して、改革することだといってもいいすぎではない

「点」には長さも面積もない。ただ位置だけを示している。物事には必ず「点」がある。「点」を見失って改革を実施すれば、破局へと舵を切ることになる。

市場社会は市場経済と財政という二つの経済から構成されている。市場経済は市場原理によって決定されるのに対して、財政は予算原理にもとづいて政治過程で決定される。予算とは財政現象を決定する文書である。

財政の機能には資源配分機能、所得再分配機能、経済安定化機能の三つがあるといわれる。この三つの機能は、歴史的に継起して拡大してきたものである。財政の機能拡大とともに予算改革が唱えられてきたけれども、複式予算にしろ国民経済予算にしろ、これまでの予算改革は経済安定化機能にかかわって唱えられてきた。ところが、ジェンダー予算は「正義」という視点から唱えられている。

政治過程で決定される予算原理では、「正義」は基軸的原則である。もちろん、租税原則でも正義の原則あるいは公平の原則は最も根源的な租税原則である。

この「歴史の岐路」で租税の正義の原則も大きく転換する。それはジェンダーという視点と、環境という視点からの正義が決定的に重要となるからである。

しかも、財政の主体である政府は、複数主体から成立する。財政機能の拡大と変容にともなって、複数主体の政府間財政関係も変化する。現在では中央政府に地方政府、それに社会保障基金という三つの政府から構成された政府間財政関係として、社会保障も位置づけられる必要がある。しかも、ジェンダーの視点からいっても、サービス給付へのシフトとユニバーサリズムが決定的に重要となる。

「歴史の岐路」とは一つの時代が終わり、一つの時代が始まる転換期である。この前の「歴史の岐路」である1929年の世界恐慌では、「女性・子供の雇用労働に依拠した軽工業基軸の工業社会」が終わりを告げ、「「男性稼ぎ主」型を前提とした重化学工業基軸の工業社会」が始まった。現在の「歴史の岐路」ではこうした「「男性稼ぎ主」型を前提とした重化学工業基軸の工業社会」が終わりを告げ、「誰もが稼得活動に参加するソフト産業基軸の知識社会」が始まろうとしている。それだからこそジェンダーという視点からの財政・社会保障の改革が、歴史のアポリアを乗り越えることになるのである。

(2011年3月11日12時20分)

共通論題テーマ「ジェンダー予算分析という挑戦」

趣旨説明: 共通論題座長 居城舜子(常葉学園大学)

1995年第4回世界女性会議(北京会議)以降、世界的にジェンダー平等や社会的公正への取り組みは広がっている。一国あるいは地方自治体の財政をジェンダー平等の視点から、その影響や効果を評価する手法であるジェンダー予算分析は、この取り組みを推進する「ジェンダー主流化」政策のツールとして世界各国で注目を集めてきた。この試みは1980年代にオーストラリアで登場し、今では先進国、発展途上国をとわず多様な推進組織と分析ツールで50ケ国以上の国に広がっている。政府の政策選択や予算編成に影響を与えている先駆的な事例も登場している。一方、グローバルな競争社会の進展や経済危機などを経て、経済社会のあらゆる領域で効率性を追求する傾向が一段と強まっている。財政についても、多くの先進諸国が赤字に陥り緊縮予算の執行を余儀なくされ、歳出の点検やその成果を評価する動きが強まっている。「ジェンダー関連予算」も事業仕分けの対象になり削減される例もでてきた。
このような動向は、ジェンダー平等と効率性との関係を私たちに問うている。21世紀の最重要課題とされる男女共同参画社会が日本的雇用や社会保障制度などのシステムを再構築する中でどのように統合されるのか、注目すべき課題である。ジェンダー予算分析は、具体的な政策レベルでこの両者を切り結び、ジェンダー平等を社会システムに統合する役割を果たす。日本においては、今、必要とされる、そしてもっと注目されてよいテーマである。本大会は、以上のような趣旨で共通論題として、ジェンダー予算分析を、その手法と理論等の総論、日本の財政と男女共同参画、ナショナルマシーナリの動向、地方自治体財政とジェンダー予算分析など、多角的・重層的に検討しようとするものである。

大会スケジュール

自由論題

第1報告 10:00~10:45
長田華子(お茶の水女子大学 大学院博士後期課程)
「新国際分業の最新局面のジェンダー分析―日系多国籍縫製企業のバングラデシュへの移転と労働の分割=結合」(報告要旨, PDF)
コメント:松川誠一(東京学芸大学)

第2報告 10:45~11:30
金井佐和子(東京外国語大学 研究員)
「トルコの再生産労働市場の変化~外国人移民労働者の参入を受けて~」(報告要旨, PDF)
コメント:定松文(恵泉女学園大学)

【共通論題】 13:00~

テーマ「ジェンダー予算分析という挑戦」

座長:居城舜子(常葉学園大学)

趣旨説明 13:00~13:10
座長:居城舜子(常葉学園大学)

司会進行: 松川誠一(東京学芸大学)

報告 13:10~13:50
神野直彦(東京大学名誉教授)
「日本の財政・社会保障とジェンダー」(報告要旨, PDF)

質疑応答 13:50~14:20
休憩 14:20~14:35

実践報告 14:35~14:55
人見章子(Web アソシエ代表)「大阪府の予算をジェンダー分析する」

座長まとめ 14:55~15:15
居城舜子(常葉学園大学)「日本におけるジェンダー予算分析の課題」

コメント 15:15~15:35  村松安子(東京女子大学名誉教授)
コメント 15:35~15:55  竹信三恵子(和光大学)

報告者リプライと討論  15:55~16:40

閉会の挨拶  足立眞理子(お茶の水女子大学)

学会総会
17:00~17:30
2010年度の活動報告(梅澤直樹 滋賀大学)
2011年度の活動計画

懇親会 18:00~ (お茶大生協)

協賛:お茶の水女子大学ジェンダー研究センター(IGS)

日 時:2010年4月17日(土)午前10時~
会 場:大阪府立大学・中百舌鳥キャンパス(大阪府堺市)、B3棟
参加費:会員 2000円, 非会員 3000円(学生は2000円)

共通論題テーマ「ケア労働の諸相--ケアの危機の第2局面に際して」

趣旨説明: 共通論題座長 松川誠一(東京学芸大学)

2000年に公的介護保険制度が施行されてから10年、ケア・サービスの供給体制は危機的な状況にある。ケア労働者の労働環境は劣悪なままで、離職率は高く、慢性的な人手不足に陥っている。また、サービス提供事業者の経営状況も不安定である。

1980年代以降、ケアを女性のアンペイド・ワークに依存してきたこと自体が、ケアの危機を生み出し、介護保険制度の創設に至った。それまでの社会・経済体制が暗黙の前提としてきたケア領域が問題化され、ケアの社会的な再配分にどのように取り組むのかが喫緊の政策課題として浮上したのである。フェミニストの理論と運動がこの間の動きに果たしてきた役割は決定的なものであった。

措置制度の時代に比べて介護保険制度のもとでは、介護サービスの供給量は飛躍的に増大し、ケア供給の主要な公的制度として人々の生活の中に根付きつつある。だが、質的にはどうだろうか。介護保険導入に際しては、ケア・サービスの公的供給体制に市場原理を導入することで質の向上を図るというシナリオが描かれていた。現実には、質の向上どころか、サービス供給体制の維持・存続すら危ぶまれるほどであり、ケアの危機の第2局面と見るべきである。

2010年度大会の共通論題報告では、有償介護サービスの直接的な生産者としての職業的ケア労働者に焦点をしぼって、分析と討議を試みたい。報告予定の研究者たちは、介護職の労働のあり方に関する実証的な研究を行ってきた。高齢者ケアといってもその内実は複雑であり、複雑さそれ自体がケアの危機につながっている面もある。各報告においては、介護労働者の職務のあり方とそこでの技能の専門性がキーワードとなる。

ケアの危機とは、ケアをケアする仕組みの機能不全を意味している。ケア職の職務内容とそれに対する社会的な評価の間における矛盾や、専門職としての持続的な再生産の困難という観点から、アプローチしていくことになろう。ケアの危機に対してどのようにアプローチしていくかは、フェミニスト経済学の試金石である。ケア労働の具体相を注意深く検討するなかで、ケアの危機に対するフェミニスト視点からの議論を行いたい。

大会スケジュール
10:00~10:40 自由論題 第1報告

A会場

報告者:髙松里江(大阪大学大学院・日本学術振興会特別研究員)
「男女間賃金格差における性別職域分離の影響とそのメカニズムについての計量分析」
討論者:川口 章(同志社大学)

10:50~11:30 自由論題 第2報告

A会場
報告者:青柳和身(岐阜経済大学)
「晩年エンゲルスの階級論はマルクスの永続的階級認識を継承しているか――ジェンダー認識を中心に」
討論者:足立眞理子(お茶の水女子女子大学)

B会場
報告者:蟻川千晶(大阪府立大学大学院)
「「社会的排除」のジェンダー的検討――配偶関係を持たない女性からみた排除/包摂と家族」
討論者:山森 亮(同志社大学)

【共通論題 会場:A会場】 11:40~

テーマ「ケア労働の諸相――ケアの危機の第2局面に際して」

座長:松川誠一(東京学芸大学)
司会:梅沢直樹

開会挨拶 11:40~12:20
竹中恵美子(大阪市立大学名誉教授・前大阪府ドーンセンター館長)
「フェミニスト経済学の課題とは」

第1報告 12:00~12:40
笹谷春美(北海道教育大学)「分断化された介護職養成:その帰結と課題」

昼休み 12:40~13:30

第2報告 13:30~14:10
松川誠一(東京学芸大学)「介護職における感情管理とジェンダー」

第3報告 14:10~14:50
大槻奈巳(聖心女子大学)「介護職の職務評価:職務の価値と賃金」

休憩時間 14:50~15:05

コメント・総括討論 15:05~16:25
居城舜子(前常葉学園大学)、 田中かず子(国際基督教大学)

16:40~17:30 総会
18:00~ 懇親会

協賛:お茶の水女子大学ジェンダー研究センター(IGS)
後援:大阪府立大学女性学研究センター

日 時:2009年4月18日(土) 午前10時より
会 場:法政大学市ヶ谷キャンパス・ボアソナードタワー
参加費:会員 2000円、 非会員 3000円(学生は2000円)

共通論題テーマ「金融グローバリズムと貧困の女性化の現段階」

趣旨説明: 共通論題座長 足立眞理子(お茶の水女子大学)

現在、私たちが直面している世界的な金融危機および景気後退は、20世紀末までに経験してきた経済状況と、どのように異なりまたどのように類似しているのであろうか。本年度の共通論題「金融グローバリズムと貧困の女性化の現段階」は、1920年代末世界恐慌との対比で語られることが多い現在の経済状況を、ジェンダーの視角から分析するものである。言うまでもなく、このことは、ジェンダー分析以外の他の方法的枠組みでは、不可視に置かれる諸問題群を、その存在そのものを明らかにするとともに、ジェンダーブラインドなままの認識がもたらす政治的意味作用を問い、そのことを通して、今、何が生起しつつあるかを把握する必要があるという認識に基づいている。共通論題のテーマは、2008年春の時点で幹事会において議論され、その時点で既に、金融グローバリズムの与えるジェンダー非対称的な諸結果のみならず、さらに、金融システムそのものの持つジェンダーバイアスについての分析の必要性が提起された。その後、周知のように事態の急展開の中で、金融グローバリズムによる略奪的貸付の横行、金融派生的証券化による信用保証システムの機能不全などの実態が明らかとなり、続いて、製造業等実体経済への打撃と雇用不安・失業増大・貧困の深化が報告されるに至っている。

アメリカのサブプライム貸付に端を発する金融危機は、世界的な規模での金融恐慌へと拡大し、実体経済への予想を超える影響を与えているが、この進行状況は主に三つの局面から見ることができる。

第一に、アメリカのサブプライム貸付にみられる金融グローバリズムの略奪的実態が明らかになるに従い、貸付対象が女性・移民およびエスニシティなど社会的弱者への非対称性をもっていることが報告され始めた。すなわち、金融グローバリズムの中で累積した過剰資金の「はけ口」としての貸付対象拡大と、そこに組み込まれる形で生ずる、新たな位相での社会的排除にかかわる問題である。

第二に、これらの金融商品の証券化による、「リスク分散」と称される「リスク負担の拡散」によってもたらされた金融機関や保険会社、投資ファンドの倒産などの金融・信用システムそのものの崩壊と、それを前提に成り立つとされていた居住、医療、介護などの生活世界の破壊。

そして第三に、消費者需要の落ち込みによる実体経済悪化、雇用不安、失業増大、さらなる実体経済の悪化と貧困という負のスパイラル状況。この労働市場、雇用および就労のさまざまな形態、新たな失業、貧困、生活保障そのものからの排除という状況については、既に多くの報道がなされながら、極めてジェンダーブラインドな認識にとどまっている。現在、今ここでの問題は、何故再び、ジェンダーブラインドなままに、雇用形態が、失業が、貧困が語られるのか、その経済社会的、政治的状況について分析することである。そして、この問題は、その救済策としての、一方での金融機関公的資金注入と他方での財政政策による選択順位付けという財政・予算すなわち再分配のジェンダーバイアスとも関わっている。

以上、三つのいずれの局面においても、ジェンダーバイアスがどのように作用し、どのような機能を担わされているのか。さらに、これらの諸問題は、金融グローバリズムの諸結果との関わりにおいて、20世紀後半における労働力の女性化が、資本主義における雇用システム全体の変容として現象化したのと同様の政治経済的、社会的意味作用を、21世紀資本主義においてもちうるのか。

これらの諸問題を金融グローバリズムとその世界的崩壊の現局面であつかうという試みは、国際的学際的なフェミニスト経済学においても、おそらく未だなされたことはないであろう。同時に、今後の主要関心事となることは言をまたない。今回の共通論題での議論が新たな出発点となって、今後のジェンダー研究と、そこからの実践課題を見抜き、理論と運動実践、政策提言の融合を期待してやまない。

大会スケジュール

10:00~10:40 自由論題 第1報告

A会場
久保田裕之(大阪大学大学院)
「非家族家計の社会経済分析―シェアハウジングからみた家計・世帯・家族」

10:50~11:30 自由論題 第2報告

A会場
金子裕一郎(龍谷大学経済学部)
「ベッカー『家族の経済学』における効率的性別分業の論理構造」

B会場
中原朝子(奈良女子大学大学院)
「有配偶パートタイム労働女性の希望雇用形態に影響する要因の検討」

【共通論題 会場:A会場】 11:40~

テーマ「金融グローバリズムと貧困の女性化の現段階」

座長:足立眞理子(お茶の水女子大学)

第1報告 11:40~12:20
竹田茂夫(法政大学)
「経済危機と構造的暴力ーー労働と貧困のグローバルな女性化」

昼食 12:20~13:30

第2報告 13:30~14:10
森岡孝二(関西大学)
「日本的雇用システムの変容と労働市場の二極分化」

第3報告 14:10~14:50
藤原千沙(岩手大学) 「女性の貧困の不可視化と「貧困の女性化」」

コメント・総括討論 15:10~16:50
【討論者】大沢真理(東京大学)、 新井美佐子(名古屋大学)

17:00~17:30 総会 A会場

18:00~ 懇親会(ボアソナードタワー・スタッフクラブを予定)

  • 総会終了後に懇親会(会費5000円、学生3000円)を行ないます。
  • 大会当日にTシャツ、その他の販売を予定しています。
  • 本大会は非会員の方にも公開されています。関心のある方に広く周知していただけ れば、幸いです。

共催:法政大学大原社会問題研究所
協賛:お茶の水女子大学ジェンダー研究センター(IGS)

日時:2008年4月19日(土) 午前9時より
会場:滋賀大学彦根キャンパス
参加費:会員 2000円, 非会員 3000円(学生は2000円)

共通論題テーマ「ベーシックインカムへのフェミニスト的接近:ペイエクイティ、生活賃金、家事労働」

趣旨説明: 共通論題座長 山森 亮(同志社大学)

近年ベーシックインカム構想が、日本においても注目を集めつつある。英語圏の研究においては、福祉国家の危機以降ワークフェア的な政策動向が顕在化するなかで、それへの対案として注目を集めてきた。日本においても一方で生活保護などの領域で 「自立支援」という名前でワークフェア的政策の導入が図られ、他方で貧困問題が多数派の目にも顕在化してきた状況のなかでここ数年議論が活発化している。

しかしながらこの構想が、女性たちの運動から、家事労働への賃金要求という形を もとりつつ出てきたことは、英語圏においても日本においても、ベーシックインカム 研究のなかでは殆ど言及されることはない。また現在ではいくつかの国でジェンダー 平等のための政策パッケージの一部として、ペイ・エクイティなどの労働政策と並べ て要求されていることも、日本ではそれほど知られていない。他方フェミニスト経済 学日本フォーラムに集う研究者のあいだでは、ペイ・エクイティや生活賃金(リビン グ・ウェイジ)などについての研究や、家事労働論などの研究について、優れた研究 蓄積がある。これらを踏まえて、本フォーラム独自の視点からのベーシックインカム 構想への接近として、一方での家事労働の可視化の動きと、他方でのペイ・エクイティ、生活賃金などの労働分野でのジェンダー平等を求める動きと、ベーシック・インカムがどう関連しているか、また関連しうるのかについて議論を行いたい。

このような問題設定での学問的シンポジウムは日本のみならずおそらく英語圏でもほとんど行われていないように思われる。結論を少しだけ先取りすれば、女性たち が、ひとり親として生活していくための「生活賃金」を要求していくという点で、 ベーシックインカム、ペイエクイティ、生活賃金の要求には共通点があったことが明 らかになろう。しかしこれらには看過できない相違点もあるだろうし、また別の共通 点もあるかもしれない。これらが明確になり、またアンペイドワークをめぐる議論が これらとどのように関連するのか、そこからどのようなジェンダー平等に向けた政策パッケージが考えられうるのかについて議論を深めることができれば、本共通論題の 所期の目的は達成されたことになる。そして例えばひとり親世帯の労働、福祉、家計 など、共通論題テーマに関連して、本フォーラム会員の優れた研究蓄積があるので、 会員相互の活発な議論の時間を保障すべく指定発言者(報告者と討論者)を6人ではなく5人にしている。労働研究と福祉研究、実証と理論、歴史研究と政策提案、など の垣根を超えた議論を通じて、フェミニスト経済学ならではの何かが生み出さることを期待したい。

大会スケジュール

9:00~9:50 自由論題 第1報告

A会場
奥村則子(お茶の水女子大学大学院)
「独自一己の生計――女性に生活賃金を提言した大阪市社会部調査の背景」

B会場 長田華子(お茶の水女子大学大学院)
「女性の経済活動参加と エンパワーメント――バングラデシュ首都ダカの縫製労働者とメイドの調査を事例に」

D会場
安里和晃(龍谷大学経済学部非常勤講師)
「外国人介護労働者に対する雇用主の評価――台湾における施設介護の事例から」

10:00~10:50 自由論題 第2報告

A会場
大橋史恵(お茶の水女子大学大学院)
「中国における「素質」 の言説装置と農村女性の職業訓練――家政サービスをめぐって」

B会場
榊原裕美(横浜国立大学大学院)
「経済政策とフェミニズム― ―スウェーデン・メイド論争にみる分岐」

D会場
藤田朋子(大阪府立大学大学院)
「家事分担の詳細分析――夫婦 の家事実態調査からの検証」

【共通論題 会場:C会場】 11:00~16:20

テーマ「ベーシックインカムへのフェミニスト経済学的接近:ペイエクイティ、生活 賃金、家事労働」

第1報告 11:00~11:50
山森 亮(同志社大学)
「「家事労働に賃金を」:ベーシックインカム要求運動とジェンダー」

第2報告 12:50~13:40
居城舜子(常葉学園大学)
「ペイ・エクイティと生活賃金:性差別賃金を解消す る戦略としての可能性」

第3報告 13:40~14:30
小沢修司(京都府立大学)
「ベーシック・インカムの可能性と労働」

コメント・総括討論 14:30~16:20
【討論者】伊田久美子(大阪府立大学)、田村哲樹(名古屋大学)
【司会】大沢真理(東京大学)