日本フェミニスト経済学会2019年度大会のお知らせ

日本フェミニスト経済学会2019年度大会

開催日:2019年7月13日(土)
会場: 北とぴあ (京浜東北線 地下鉄南北線 王子駅 各下車徒歩5分)

→大会プログラム

テーマ「東南アジアの経済成長とジェンダー:女性の移動・労働・定住」

趣旨説明: 共通論題座長 堀 芳枝(獨協大学)

日本で暮らす在留外国人は2017年末で256万人と全人口の2%を超え、外国人労働者も128万人と過去最高を更新した。国会では「新たな外国人材」の受け入れの入管難民法改正も成立した。これまで長年問題視されてきた技能実習生の労働状況や人権問題について国会で議題となったが、外国人労働者の賃金や生活、人権保障などの課題は残されたままである。私たちが多文化共生型の社会をめざすべきことは言うまでもないだろう。
今回の一連の報道を振り返ってみると、外国人労働者を単純労働者、もっというと単なる労働力として積極的に受け入れようという側と、彼らの賃金や人権を保障をしたうえで、日本で働いてもらおうという側の共通点は、「貧しいアジアの外国人労働者たちは、日本で働きたいと考えている」という前提に立って、政策の是非を議論していることである。
しかし、東南アジアの経済社会は変わりつつある。2015年にASEAN経済共同体を発足し、外国投資を呼び込みながら製造業だけでなく、観光やサービス業に力を入れて順調に経済成長を続けている。東南アジアと日本の関係はかつての垂直な関係から水平な関係に変化しつつあると言えるのではないだろうか。私たちはこの前提から、外国人労働者の受け入れ政策をもう一度考える必要があるのではないだろうか。
これまで東南アジアの経済成長を支えてきた労働力として、女性の存在は必要不可欠であった。女性たちは輸出加工区で働いたり、観光といったサービス業で働いたり、あるいは海外での移住労働をして送金することで、自分の家族や国の経済をささえてきた。そして、ジェンダー研究は、彼女たちの労働過程や移住労働問題、国際結婚などについての研究の蓄積を重ねてきた。
そこで本シンポジウムでは、東南アジアの経済成長にともない、女性の労働や移住労働の在り方はどう変容しているのか。さらには、日本ですでに定住している女性たちは、現在どのような仕事や暮らしをしているのだろうか、という観点から、日本の外国人労働者受け入れ政策を再考したい。
報告者
    • 堀芳枝(獨協大学)フィリピン
    • 巣内尚子(ジャーナリスト&カナダ・ラバル大学)ベトナム
    • 平野恵子(北海道教育大学)インドネシア
    • 長瀬アガリン(非会員・KAFIN)日本に定住しているフィリピン人として
討論者
    • 足立眞理子(お茶の水女子大名誉教授)
    • 大橋史恵(お茶の水女子大学)